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僕が七不思議になったわけ/小川晴央(著) 読了

僕が七不思議になったわけ/小川晴央(著)青春モノが好きということもありますが、
メディアワークス文庫から発売された受賞作を
三作品全て読んで、これが一番好きでした。
本当によかった。
生きながらにして学校の七不思議になった中崎くんが、
他の七不思議の力を借りて学校で起こった事件を解決していく。
その中で幸せな日々が訪れるわけですが。。。
結末がまさかすぎて本当にちと泣きました。
その後にまた立ち上がる姿もすごくよかった。

次回作が楽しみだなぁ。
早く読みたいです。

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僕が七不思議になったわけ/小川晴央(著)


以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
携帯電話を忘れてしまって夜中の学校に取りに行った中崎くん。
そこで彼が出会ったのは桜の木の精霊であり、
学校の七不思議を司るテンコだった。
後に明かされることになりますが、携帯電話を隠したのはテンコだったわけで。
テンコは中崎くんと話してみたくて、そんなことをしたんだそうな。
きっかけになったのは彼が入り浸っていた空き教室。
そこは元々テンコの居場所だった。
見続けていた中崎くんの表情。
それが気になった。
だから、話をしたくて彼を誘い出して七不思議に仮登録した。

そうして、生きながらにして七不思議になった中崎くん。
ただの人間が七不思議になった見返りは、
他の七不思議の力を借りることだった。

その力を借りて中崎くんは事件を解決する。
春の章、秋の章で解決した事件は一人の同級生を助けるために。
最初は黙ってこっそりと。
けど、きっちりと警察に突き出さなかったことが二度目の事件を引き起こしてしまう。
二回目はただがむしゃらに。

夏の章でのテンコとの教室での会話。
アドレスを聞いてみようと思ったのは香穂の方。
会話では、これまでも色々してきたんだから、と話してるのが気になってたんですが、その時は
最初の事件から描かれてないだけで何かが少ない時間であったんだと。
アドレスは秋の章で中崎くんから聞いたとなってたので、あれ?と。
そりゃ、あれ?となるわけだわなぁ。
ここは4年後の話だったわけだから。

秋の章のラストに待っていた悲劇。
この展開は予想してなかった。
嘘やん、とかたまりましたねぇ。

そして、冬の章で明かされた真実。
夏の章と冬の章2は事件から4年後の話だった。
朝倉さんは朝倉さんでも彼女・咲紀の妹との話だった。

彼女の死を前に中崎くんが選んだのは本当の七不思議となることだった。
魂を抜き取り死ぬことで七不思議となって学校で生き続けることを。
アカメと同じように、いるようでいない、いないようでいる、という存在となって。

幸せの絶頂で死に別れ、絶望し逃げた。
そんな中で妹の香穂と再会した。

テンコは4年間、中崎くんを騙していた。
彼女は幽体離脱させることで彼を生かし続け、
前を向くための時間を与えた。
妹がやってくることは彼女にはわかっていたんでしょうかね。
同じクラスに、というのは彼女の力が働いたと思ってますけど。
何かが動くなら妹しかなかっただろうというのはわかってたでしょうからね。

卒業式の夜。
そこで彼に関する記憶はリセットされる。
その夜に香穂は再び中崎くんの前に。

姉に対する思いをぶつけた。
自分の不甲斐なさを悔やむ中崎くんとは違い、
彼女は本当に姉はすごかったんだと改めて気付かされた。
そして、そんな姉のように自分もなりたいと思った。
辛かったけど、でも逃げなかった。
卑怯だ、と。

テンコに自分と向き合え、と。
咲紀が最後の最後まで握りしめていた最初で最後のプレゼント。

香穂の強がりな言葉が中崎くんを前に向かせる。
でも、もう遅い。
そう思ったが、何も遅くはなかった。

彼は4年ぶりに自分の体で目を覚ます。
そこには記憶がなくなる前に香穂が書き残した手紙が。

そして、中崎くんは彼女のいない世界で歩き出す。
香穂との再会で知ったイヤリングの事実。
学校へと戻りそうになった。
けれど、それはしちゃいけないんだ、と。
テンコと咲紀が自分の背中を押してくれたのだから、
胸を張ってもう大丈夫だと安心させなければ。
そうなる日が来るまで。
今は強がりでも前を向く。

本当にまさかの展開で泣いてしまいました。
そこからの結末もすごくよかった。
テンコや香穂の精一杯の気持ちも、
すごく優しさに溢れてたなぁ、と思いました。

心配病はこれからも治らないのでしょうけど、
それでも一生懸命前に向かって歩いて行ってほしいですね。
これからどういう人生を歩むことになるのか気になります。

中崎くんの代わりに七不思議になったであろう、
咲紀のイヤリング?はどういう七不思議になったんだろう。
それも気になりましたね。

次回作が本当に楽しみでならないなぁ。
すごく好きな作品でした。


サイドストーリー
「僕が七不思議になったわけ プチ春の章」
春の一幕。
というわけで、本当にちょっとした話。
けど、テンコの奔放さや、それに振り回される中崎くんの姿がよく描かれてました。
振り回されつつもイヤじゃないと感じる中崎くんがよかったですね。
若干後々面倒なことになってそうではありましたけどw

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僕が七不思議になったわけ

僕が七不思議になったわけ 著者  小川晴央 石橋を叩いても渡らない心配性の高校生・中崎夕也はある夜、七不思議を司る精霊・テンコと出会う。深夜の校庭に桜が舞い散る中、宙に浮かぶ袴姿の彼女は、高らかに不吉な言葉を彼に投げかけるのだった。「おめでとう、お主はこの学校の新しい七不思議に選ばれた」なんと彼は七不思議の引き継ぎに、仮登録されてしまったのだ!生きながらも七不思議の一...

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いきなり失礼します

古い記事にコメント失礼します。読メからたどり着きました。私もこの本を読んだのですが、このように全体を総括している方の意見を見たかったので参考になりました。
ところで私が読んでわからなかったことが・・・このタイトルが「僕」なのはなぜなんでしょうか?一人称が僕なのは最初の出会いの時のみ。それも特に意味はなさそうです。最後のイアリングも関係するのはお姉さんで女性。どうしてもそこがわかりません。返信は基本されないということでしたがもしお時間あれば・・・、ということで楽しみにしております。
長文失礼しました。

どくめ会員さんへ

コメントありがとうございます。
覚えていなかったので最初の部分を読み直しましたが、
確かにテンコに声をかけられたときにどもって「僕」と言ってますが、それ以外は「俺」ですね。
自分なりにですが、タイトルは単純に「僕」の方が柔らかい印象を受けるから、
というのもありそうかな、と思います。
そちらの方が内容の雰囲気としては合っていますし。
後は中崎くんの年代的に「僕」から「俺」に移っている途中だったり、
七不思議として人と違う時間を過ごすうちに心の中ではまた「僕」に戻っていたり、
咲紀と出会ったことで時間が戻ったような感覚になっていたりしたのではないでしょうか。
こんな風に自分は感じました。

管理人様へ

お返事有り難うございます!

>>七不思議として人と違う時間を過ごすうちに心の中ではまた「僕」に戻っていたり、
>>咲紀と出会ったことで時間が戻ったような感覚になっていたりしたのではないでしょうか。

非常に参考になりました。個人的にはもっと何か重要な事を見逃したのかと思ってました。読者の捉え方次第かもしれないですね。
ありがとうございました。

同じく古い記事に失礼します!

先ほど読み終わりまして、この驚きとほろ苦くも心地よい読後感を分かち合いたいとネットをさまよっていましたらここにたどり着きましたw
終盤かすかな羨望を目印に前を向いたシーンよかったぁ!

ただ聞きたいんですけど、秋の章のときのメールで返信こないときに「呪いのメール」の力借りようかと迷った ってあったんですけど学校内の携帯への盗み見と送信で何をしようとしたんでしょうかw 友達に愚痴ってないかとかですかね?w

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