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三日間の幸福/三秋縋(著) 読了

三日間の幸福/三秋縋(著)前作も悪くはなかったのですが、
これは段違いでよかった。
久しぶりに一気に読みたいと思えた作品だなぁ。
実際に昨日の夜中まで読んでましたが^^;

友達だと思っていた人や大切な人との再会。
そこで知った相手の本心。
そういうことで落ちることももちろんあったわけですが、
それらを含めて充実していて幸せそうだと感じました。
彼らにとってはこの物語の後の残された三日間がもっとも幸せな時間となるのでしょうけど、
そうなるまでの過程であるこの物語自体の方が一番彼らにとっては
幸せな時間だったんじゃないかと思うなぁ。
三日間ではあの時はこうだった、と振り返ることが多くなりそうなんでね。

バッドエンドよりの終わり方になるのかな、と思っていたんですが、
ハッピーエンドな終わり方でスッキリとした気持ちで終われたのもよかった。

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三日間の幸福/三秋縋(著)


以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
寿命、健康、時間が売ることが出来る場所がある。
そんなことを教えられて向かったクスノキの寿命の査定額は最低価格の1年につき1万円だった。
しかも、20歳を迎えた彼にとってはその寿命の短さにも驚かされることになる。
30年。
50歳までしか生きることが出来なかった。
寿命を売ってから聞かされた自分のこれから起こり得た人生も悲惨なものとなっていた。

そんな中で監視員としてついたのは一人の同い年くらいの女性だった。
彼女は自分の時間を売ることで監視員として仕事をしていた。
時間を売った代償は監視対象以外には認識されない透明人間になるということだった。

そんな二人の出会いが大きく運命を変えていく。

後半になって明かされるのは査定価格が1年につき1万円ということが嘘だったということ。
30万円はミヤギが自腹で渡したお金だった。
本当の査定価格は30円。
そんな彼が残り僅かの寿命で起こす奇跡。
誰かの幸せを願っていたから出来たこと。

正直、絵がそんなに大きな意味を持ってくるとは思いもしてなかった。
世に名前が残るような存在となり得た。
でも、それを捨ててミヤギの借金を返済することを選んだ。
死んだ後のことなんてどうでもいいし、
ミヤギがいてくれたからこそそうなり得た。
ならそのお金をミヤギのために使うのは自然なことですよね。

寿命を最後の三日間を残して使いきったクスノキだったが、
ミヤギのいないほんの僅かな時間だけで折れてしまいそうになった。
そんなクスノキのそばにはいつの間にか多くの人が集まってくる。
これまでじゃ全く考えられなかった状態に。
そして、そこにミヤギも。

クスノキとの日々が彼女の寿命の価値もあげていた。
彼女も寿命を全て売り同じ残された時間を共にすることを選んだ。
透明人間ではない自分となって。

ミヤギはどういう人生になりえた寿命を売ったんだろうなぁ。
クスノキのおかげで残った借金はほとんどなくなっていたわけではありますが、
クスノキのいなくなった世界でどのようにして生きていったんだろう。
それがどう査定額に影響を与えたんでしょうかね。
クスノキの絵を世に広めたってことなんかな?
けど、そうなりえた寿命を売った後の査定だから、それはないか。
気になるねぇ。

けど、とにかく二人が幸せでよかった。
これからのミヤギは透明人間ではないわけだから、
きっと恥ずかしいってのが出てくるだろうなぁ。
今までは自分は見えてないからとクスノキからの行動に受け入れてたけど。
いざ自分も見られてるとわかったら最初は絶対恥ずかしいだろうと思うよ。
ただ、そんなミヤギの反応もクスノキは楽しむんだろうなぁ。

さてはて、クスノキにとって大きな存在だった大切な人。
ヒメノのメッセージを受け取っていたら違った未来だったんでしょうけど。
クスノキとヒメノの成長のスピードがずれてたんだろうね。
遺書のようなものを書こうとしてから気づいた気持ちの伝え方。
それがヒメノからの手紙と同じでしたからね。
その違和感を感じとれていれば、ということでしたが、
たらればをどれだけ言ってもどうにもならないのでしょうね。

そんな彼女の最期は本当はクスノキの目の前で自殺することだった。
助けを求めたのに気づいてくれなかったことを憎んで。
でも、そんな自分よりずっとおかしくなっていた、と知って目の前で自殺することをやめた。

自殺すること自体はするのかね?と疑問に思った。
後でおばあさんにクスノキが自殺することになるみたいなこと言ってましたけど。
なり得た未来とは違うことが起こってる時点でなり得ないんじゃないかと思うわけで。
少なからず彼女の人生を変えたと思ったんですけどね。
違うのかねぇ。
クスノキとミヤギに奇跡が起こったように彼女も何かが変わってるといいのですが。

千羽鶴を折ったり、自動販売機めぐりだったりと何気ないことをしてる時の
二人が本当に幸せそうだったなぁ、と思いました。
これからの残された三日間で何をするのかはわかりませんが、
幸せ過ぎる結末ですけど、それがくどくならない感じのスッキリした終わり方で
本当に気持ちのいい読み応えがありました。
面白かったです。


サイドストーリー
「小さな願い」
ミヤギ目線の物語。
同じような場面でも少しセリフが違った部分があったのが気になりましたが、
ミヤギ目線の話が読めたのはよかった。

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