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落第教師 和久井祥子の卒業試験/桜井美奈(著) 読了

落第教師 和久井祥子の卒業試験/桜井美奈(著)前作同様面白かったです。
モンスターペアレントな母親に心身ともにボロボロになりながらも、
諦めずに生徒と真正面から向かい合う祥子の姿がよかった。
そんな状況でプライベートの問題なんかも出てきたりも。

前作は田路先生が3年の間にそれぞれ問題を抱える女生徒と、
独特な距離感で一緒に解決してきましたが、
今作は1年間のことで1人の生徒と向き合う。
田路先生とは違う祥子らしさの違いもあって楽しめましたね。

ていうか、田路先生出てくるのかなぁ、と思ってたら、
諸悪の根源だったw
祥子だから任せられると思いもしたのでしょうけどね。
田路先生の想像してた以上に大変なことになっちゃったんだろうなぁ。

後は恋模様もありましたが、こちらも田路先生と似てじれったく感じたり。

「きじかくしの庭」に展開的には非常によく似てますが、
「きじかくしの庭」を読んで楽しめたのなら、祥子の成長もあったりで楽しめると思います。

この作家さんは今後も楽しみにしたいなぁ。
活躍してほしいものです。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
教師として2校目となった学校は母校。
祥子の高校時代を知る先生がわずかに残っていて気まずくなったりしつつ、
校庭の端にあるかつての彼女の居場所へ。
そこにいたのはまだ生徒たちは知ることのないはずなのに、
祥子の名前を知っている1人の男子生徒だった。

自分の役目はこれで終わり。
そう彼は言って花壇から離れていった。
残っていた花壇は3つのうち2つは荒れた状態になっていたものの、
1つも雑草が残りつつもかつての姿を残していた。
オランダキジカクシがそこにまだあった。

田路先生は彼に花壇の世話を任せていた。
祥子が田路先生にしてもらったように、彼の居場所になれば、と。

そんな生徒・瑛斗の抱える問題にまだまだ若手な祥子が向かい合う。

瑛斗の母親はモンスターペアレントとして学校の中で恐れられていた。
父親は単身赴任中で家では二人きり。
その父親が単身赴任先で愛人を作ったことが母親を大きく変えることとなった。
父親には何を言っても仕方がないとわかると、
その怒りを別に向けた。
その結果、瑛斗の周りへとその怒りが向けられることになった。

そんな母親からの束縛により瑛斗には自由が全くなかった。
それを心配して田路先生は花壇という居場所を与えて学校を去った。
担任でもなかったから何も出来なかった。
自分に出来たことは花壇の世話を頼むことだけだった。
自分が楽したい、というのももちろんあるにはあったのでしょうけど、
そこには本当に心配はあってのことなのは前作でわかってますが、
田路先生でも手が出せなかった相手に祥子が立ち向かう。

結果としてはボロボロになるわけですが、それでも諦めない祥子がすごく素敵だった。
田路先生とは違う良さがあっていいね。

本当に思うのは、この母親が自分の母親だったら絶対に瑛斗のようにはいられなかっただろうな、
ということですね。
瑛斗は諦めてただただ耐えていましたが、
たぶん母親が冷静になるくらい自分がおかしくなると思う。
何で何かに当たることもなく耐えることができたんだろう、と本当に思う。
この子、本当にすごいなぁ、と。

そんな母親の怒りの矛先として受け止め続けて、
ボロボロになって倒れそうになっても、
支えてくれる人の存在に助けられて諦めない。
そんな祥子は本当にカッコ良かった。

他に協力してくれた二人の先生もなんだかんだとは言ってたけど、
本当にいい先生なんでしょうね。
こういう先生たちとの出会って本当にいいなぁ、と思う。
祥子と田路先生なんか田路先生の家にも行くくらいですからね。
まぁ、それは特殊ではあるでしょうけど。

そんな近すぎる二人の距離感ゆえにあらぬ誤解を受けることになるわけですが、
まぁ、あの状況なら仕方がないよね^^;
あんな風に泣いて本音をぶつけることが出来るというのもいいなぁ、と本当に思う。
今度からは晴彦にそれが出来るといいですが、
晴彦相手に祥子が素直になれるのは少し時間が必要だろうと思いますけどね。
二人ならきっと大丈夫だろうと思う。

晴彦の恋は7年越しに実ることとなった。
しかしまぁ、祥子はにぶすぎだろうて^^;
気づいてやれよ、とは思うものの、
祥子だけの問題ではないですね。
晴彦は晴彦で今の関係を壊したくなくて怖かったんだろうねぇ。
晴彦がどうもしなかったところで、壊れるときは壊れるのにね。
相手がいるのだから。
結果としては壊れそうになって、田路先生にまで嫉妬することになったりw
大学生時代にあったことは本当に手を出さなくてよかったな、と。
それは完全に取り返しがつかなかっただろうよ。
その頃は祥子としては完全に友達でしかなかったらしいしね。
何故まだ友達だと思えてたのか不思議でならんけど^^;
でまぁ、離れていた期間。
そして、再会してみて気づいた変化。
それが祥子に少しずつ気付かせていく。
一度離れたのは晴彦としては結果的にはよかったんだろうねぇ。
昔のようにいつでも、という感じだったら実ることはなかっただろうからね^^;
後は友達の泉の紹介で出会ったイケメンな及川と出会ったことで、
晴彦といる時とのわずかな違いを強く感じられたことが大きいわけですが。
そう気付けるようになってて本当によかったもんだw
田路先生に抱きついて泣いてた時を見られた後、
結局追いかけなかったのはどうなのだろうか、とは思ったけど。
まぁ、追いかけたところで祥子に何か言えたとは思えないけども。

こういう瑛斗の母親みたいな人が出てくるとイライラとしてくるタイプなんですが、
それほどなかったなぁ、と思う。
いい具合に祥子のプライベートを挟んだりしてたのが和らげてくれてたのかなぁ?

田路先生は奥さんと娘さんに囲まれて幸せそうでしたねぇ。
お父さんしてる田路先生がよかったw


サイドストーリー
「落第教師 和久井祥子の入学試験」
大学入試の合格発表後にあった祥子と晴彦の話。
二人のおなじみのお店となる場所での話。
どうして進路を変えたのか。
その理由が明らかになる。
祥子にとって花壇は本当に特別な場所なんだなぁ。
田路先生がそうしてくれたように、祥子もこれから悩みを抱える生徒のために
不器用なりに頑張っていくんでしょうね。
それがまた別の誰かにと繋がっていくといいなぁ。

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桜井美奈 「落第教師 和久井祥子の卒業試験」

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