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七人の王国 総理大臣は十七歳/峰月皓(著) 読了

七人の王国 総理大臣は十七歳/峰月皓(著)七人から始まった新たな国・多生島共和国。

始まり方と目次で結末は見えていましたが、
悪い方ばかりではない終わり方だったのが心地よかった、
って感じでしょうかね。
気持ちのいい終わり方で最後まで楽しめました。

ただ、少し思うのはもう少し遊びの部分っていうんですかね。
日常だけの部分があってもよかったかなぁ、と思います。
ほとんどの部分で何かしらの問題が絡んでた印象があるので、
もう少し素直にこの国を楽しみたかったかなぁ、という想いもありました。
取材という形だったから仕方なしなんでしょうかね。

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七人の王国 総理大臣は十七歳/峰月皓(著)


以下ネタバレ含みつつ感想続けます。
話は6年後から始まり、小説を書くための取材の中で首謀者の1人の青年が語っていく。
1日が短くまとめられていてテンポがよくて読みやすく
本の厚さの割には短く感じました。

この17歳は紛れもなく総理大臣だったなぁ、と。
法務大臣の父を持ち、人から責められる言葉をかけられると吐き気を起こす精神病を患って、父に捨てられこの島にきた。
そして、救われ、国を作った。
最初は言いだしっぺであり、自分でも自信がなかったけど、
途中に会った不信任案の提出で総理大臣を国民たちで選びなおしたことで、
自分に自信をつけて父親とも向かい合えた。
その中では大切な人のために、なりふりかまわず動いたりと、
本当に17歳なのか疑わしいほどにしっかりとした人でしたよね。

外務大臣の野原は元アイドルで国を自分が返り咲くための足掛かりとしようとしていた。
目黒という父と思える人に出会い、この先どうなったのかわからないですけど、
素直になれる人とも出会って、その人に間違いそうになった道を正してもらったり。
色んな表情を見せた彼女はすごくよかったなぁ。

国土交通大臣の原田は暴力事件で捕まったこともある人ですが、
この暴力事件の詳しいところはなかったですよね。
この気のいい兄ちゃんがそんな事件を起こすに至ったのは何でだったんでしょうね。
昔は荒れていた、ってことかもしれないですけど、
それならそれで、今の変化も気になるところですしね。

防衛大臣の酒匂は横領の罪を着せられた元婦警。
その一件で彼女は嘘をつけなくなった。
嘘をつこうとすると柳川と同じように吐き気を起こす。
そんな彼女が建国に参加したのは崩壊を見届けるためだった。
復讐するために。
ただまぁ、柳川がかけてもらった優しい言葉も
国の為に働いていたことも嘘ではなかったでしょうね。

食料大臣の三鬼さんは島を所有している会社の会長さん。
医療大臣の須賀さんは医師免許をはく奪された精神科医で柳川と酒匂の主治医。
内務大臣の目黒さんは野原の保護者であり、そんな野原と柳川の師匠でもある。

でまぁ、そんなおっちゃんたち3人組はそろって変わり者だったと思いますね。
目黒さんは途中癌で亡くなったわけですが、すごく幸せそうだったなぁ。
その目黒さんのお墓をバカにしたお偉方?にはイラッとした。
島の自然のことを考えて目黒さんがそうするように頼んでたのに。
何も知らないで勝手に何を言いくさっとんじゃ、と。

人が注目すればお金が動く。
その中で色々と問題が起こったわけですけども。
その問題は甘さが目立ったなぁ、という感じもありましたよね。
予期出来ていた問題が多かった。
でも、その中で国全体が成長していくこともありましたしね。

ただまぁ、最後はどうすることも出来ない形になってしまったわけですが。

作るきっかけになったことがしょうもない理由だしさ。
そんな裏があるとも知らずに踊らされる人たち。
ちゃんと知ろうと思えばわかることも多かったでしょうにね。
テレビの情報を信じすぎだわ、とちと思う。

そこまで批判を集めてからしか動かない日本政府にもうんざりするところですよね。
いい注目の浴び方をしてる中で、それに水を差すようなことをして自分たちに非難が集まるのが怖かったわけでしょ。
最初からちゃんと明確に言ってたのなら、別だけど何も公式には言ってなかったからね。
自分の立場のことしか考えてないんでしょうよ。

人との問題の他には自然と強さなんかもあったり。
守るべきだという自然。
でも、その強さはとてつもなかったことを目の前で知った。

でも、それは認めたくなかった負けを隠すための言い訳。

確かに、年下の17歳の総理大臣がこんなに頑張ってるのに自分は、とは思うよなぁ。
それはほとんどの人が思ってることでもあったわけですが、
その中で恥じない背中を見せようとしてる人もいたり。
反発も一つの形だったんでしょうね。

その反発を最後の教えと目黒さんはしたんでしょうね。
それが最後の最後で一丸となるきっかけになった。
きっと目黒さんは見越してたんでしょうね。
まぁ、問題が色々と浮き彫りになってたし、
元々目黒さんの中ではプランもあったようですしね。

その元々のプランで進んでいたならどうなってたんだろうかなぁ、とも思うところ。

大川が辞めさせられたことは、
よっしゃ!マヒロよくやった!
って感じでしたね。
ざまぁないにもほどがある。
まぁ、より多生島への悪意は膨れるでしょうけどね。
どうしようもないし、ましてや発言力は一切なくなったわけですからね。
17歳の少年に女を奪われた。
その後にプライドを傷つけられ悪意のままにしたことへの責任で、
今度はまた同じ年代の子の軽い一言で職を失った。
まぁ、マヒロはなんかしら狙ってしてたんでしょうけど。

1人は寂しい。
柳川が野原に言ってましたけど、マヒロもそういうことなんでしょうね。
友達になりましょう、そんな野原の何気ない一言に彼女はずっと救われていたんですね。
言った本人がすっかり忘れていた一言なのに。
まぁ、本当に忘れてたのか、後になって思い出したのか気になるけど。
内にあるのは強さとそれと同じだけの脆さだったってことですかね。

柳川のお父さんの話はどうなんだろうなぁ。
須賀とは本当に気心の知れた仲なようで、柳川のお父さんのことをよくわかってるみたいですが。
素直になれない、ってだけで、この親子の関係ってのもどうかと。
認めてはいるみたいですけどね。
だったら、ちゃんと伝えてあげてほしいと思うよ。
いつになってもいいから、ちゃんと面と向かって。

最後には二組が結婚したわけですが、
酒匂はどうしたんだろ?
柳川に自分が首謀者となる、なんて言ってたわけですけど、
その辺を柳川はどうしたのか気になる。

けどまぁ、どちらも幸せになってるといいなぁ。
どっちにも尻に敷かれてそうですが^^;
峠田の方は本木の扱いに随分慣れてきてたから、
変わってくるかもしれないですけどね。
原田の方は無理だろうなぁw

機動隊の突入ってのは待ってくれていたんだろうか?
それともタイミングよくちゃんと話を出来たのか、
どうなんだろ?
呆気にとられて動けなかったってのが一番なんでしょうかね。

今度は40人で6年。
どういう形で彼らがもう一度国を作るのか、
とても楽しみですね。
この取材の頃が6年ですから、もう完全に動き始めているんでしょうね、きっと。
今度こそ上手くいってほしいと切に願います。
40人の縁を繋ぐ指輪がまた同じ場所に揃う日を楽しみにしたいですね。


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