edit

おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪 前売り券「時をかける少女」、「サマーウォーズ」の細田守さん監督の
長編オリジナル作品の第2作目。
キャラクターデザインは前の二作品同様、貞本義行さんが担当し、
スタッフもそのままに新たに「スタジオ地図」を立ち上げて製作された。

正直、「時をかける少女」の規模の少なさからのロングラン。
それから「サマーウォーズ」の規模の大きさへって感じで、
三作目だったので期待はしてなかったわけです。

けど、見事にそれをいい意味で裏切ってくれたなぁ、と思いましたね。

「おおかみおとこ」という非現実的な存在がありながらも、
それが決して非現実的なものとして感じなくなる。
そんな家族の話でした。

貞本さんがキャラデザを担当した三作品を比べると個人的には「サマーウォーズ」の上ですね。
でもって、「時をかける少女」が色々な思い入れがあるので、かなり難しいところです。
ただまぁ、三作品ともにいい作品なんで困るわな。

原作小説は買ったまま見るまでおいておいたので、
これから読むのが楽しみだなぁ。

以下ネタバレ含みつつ感想続けます。
一目惚れの出逢い。
花が通っていた大学にいたよれよれのシャツを着た男性。
でも、彼はその大学の生徒ではなかった。
こっそり混じって授業を受けていたみたいですね。
そして、花は迷惑ならと離れていく彼を追いかけて、
あの授業は教科書がないと大変だから、と教科書を取り出した。

惹かれていく花。
一方で彼はその気持ちと自分の秘密の中で揺れ動く。
秘密を知れば花が離れて行ってしまうかもしれないから。
でも、待ち続ける花に彼はとうとう告白した。

彼が隠していた秘密。
「おおかみおとこ」

怖い、という正直な気持ち。
でも離れたくないという、それ以上の気持ち。

鳥を捕まえてきたときは、周りの人に見つかってたらビックリしただろうなぁw
服にも羽がいっぱいついてたしね^^;

二人の生活の場面、もう少し声がほしかったなぁ、ってのが少しある。
あれはあれでいいんですけどね。
楽しそうな二人の声が聞きたかったなぁ、と。

雪の日に生まれた姉の雪と
雨の日に生まれた弟の雨。

狼の姿で生まれてきたら大変だからとアパートで二人での出産。
母は強いね。

そして、彼の死は突然に。

あれはキツイ。
かなり衝撃的なシーンでした。

それでも、二人の子供のために強くあろうとする花。
父親を見送ったときのように笑顔を取り戻す。
花のような笑顔。
名前の由来。
そうやってつけてくれた父親を見送る時に笑顔で見送るのが何が不謹慎なんだろうね?
親戚の人が言ったそうですけど、そうやっていちいち引っ掻き回す方が不謹慎だと思うわ。
という怒りもあったりしたわけですが。

それからの都会での生活はただただ大変な毎日だった。
寝る暇もなく少しの時間があれば目をつむりすぐに眠ってしまうような状態。
そして、都会であるがゆえの問題。
ネグレクトやらなんやらと市の人がやってきたり、
大家さんにはペット飼ってるでしょ、と言われたり。

でも、本当のことは決して言えない。

病気をすれば、それこそ一大事。
小児科に連れて行けばいいのか、獣医に行けばいいのか。
結局、電話でどちらにも聞くしかなかった。

そして、結局アパートは出て行くことになる。

選んだのは自然が多く残る街。
近くにはほとんど誰もおらず、人から離れて暮らすには最適な場所だった。
辺鄙なところに引っ越してきた若い子供連れの女性。
ということで、珍しがられるなかで、必死に生きていく三人。

最初は人知れず暮らそうと思っていたが、
次第に花の周りには人が集まるようになる。
ぶっきらぼうな韮崎のおじいさんが花のために色々としてくれた。
本当にぶっきらぼうで素直じゃない。
周りの人に色々と言ってくれたのに、それを内緒にしていた。

で、韮崎のおじいさんからもらった種イモが育った時、
とても多くのじゃがいもが出来て、みなさんにおすそ分け。
でも、他の多くの農家は猪にやられた、と。
何か秘訣でもあるんでしょ?
という、ご近所さんたちに、花は思い至る。
二人の子供の存在。

そりゃ、寄り付かんわなw
そして、秘訣は誰にも言えないよねぇ^^;

さてはて、幼少時代の二人。
おてんばで自分の思う通りにならないと狼になって暴れまわる雪。
一方、優しく泣き虫な雨。

山を走り回って狩りをしたり、活発に動き回っていた雪。
だけど、雨は絵本の狼がいつも悪者でやられてしまう、ということを知って、
涙を流したり。

大きくなった二人は小学校へ。
一つ年上の雪は花を説得して学校へ。
おまじないが可愛らしかったですね。
布団にもぐっておまじないを言う雪も。

そして、たくさんの人に囲まれて戸惑っていた入学式。
でも、それは本当に最初のことだった。
活発だった性格もあり自然と友達も出来ていく。
でも、その活発すぎた性格の雪が周りの女の子との違いを知っていく。
それで、一大決心して女の子らしくなることを決める。
それを笑って話を聞いた話。
それまでの雪が雪だからちょっとおかしくなるわなw
で、花は雪に手作りのワンピースをプレゼント。

翌年、雨の入学。
でも、物静かな雨は学校にはなじめなかった。
次第にいかなくなり、花のアルバイト先に足を運ぶように。
そして、それもなくなり花の知らない場所へ雨は行くようになっていった。

雨と花が会った保護された年老いた狼。
あの狼はあの後どうなったんだろう?
雨は彼?と何か話せたんでしょうかね。

人間らしく生きることを選んだ雪。
しかし、雨は山で生きていくことを選びつつあった。
先生と呼んでいたのは山のリーダーである狐だった。
雨は先生に狩りや山で全速力で走ることを教えてもらったりした。

そんな中での姉弟喧嘩。
狼としてあろうとする雨に人間としてあろうとする雪はもう敵わなくなっていた。
お風呂場に逃げるように入っていく雪。
残った雨に今までの幼さはなくなっていた。
そして、雨が離れてしまう恐怖から山に入らないようにと花は言う。

どちらでも選択できるようにと選んだつもりだった山での生活。
わかっていたつもりだった。
でも、
そりゃ、受け入れるなんてなかなかに出来ないわな。
人間ではまだ10歳。
まだまだ子供でしかない自分の子供なのに。
それでも狼としてはもう立派な歳に。

雪は転校生の男の子を傷つけてしまう。
獣の匂いがする。
ペットでも飼ってるのか?
という草平の言葉が始まりだった。
女の子の雪に獣の匂いってお前^^;
しかも、相手が雪ということで、その匂いは自分の狼の匂いである、と感じた。
そこから草平との距離をとったわけだが、
自分は何もしてないと思っている草平は理由を知りたくて雪を追いまわす。
追われる雪は何度も何度も花とのおまじないを唱え続ける。
でも、逃げ場をなくした雪はとうとう草平に手をあげてしまった。
狼の姿になって。

草平の母親、この時もイラッとさせられたけど、
次に話が出た時は最上級にこの野郎って思ったなぁ。
耳が切れて血が出た草平を心配して耳が聞こえなくなったら、
どうするつもりですか、とかなんとか。

でも、草平は狼がやったんだと雪をかばった。

そして、花と二人になった雪は涙を流しながら後悔する。
約束を守れなかったこと。
ここに住めなくなっちゃう、と。

でも、大丈夫だと慰めるもしばらくは学校に行けなかった雪。
その間プリントなんかを毎日届けに来てくれた草平。
花は二人の時に草平に話を聞いた。

そして、狼のことも。
信じてくれないかもしれないけど、と前置いて草平は狼がいたことを話した。
だから、雪が何かをしたわけじゃない、と。

ようやく雪は学校に行くようになった日。
草平が家まで迎えに来た。
一緒に登校。

そして、豪雨。

姉と弟がそれぞれ別の道へ。
弟の旅立ちと姉の秘密の告白。
どちらもよかった。

雨の旅立ち。
追いかけ続ける花。
途中熊と遭遇したり、崖から足を踏み外したり。
夢の中で彼と再会し、彼から雨はもう大丈夫だと告げられる。

その言葉通りに雨は花を抱えてふもとへ。
眠ったままの花を置き、雨は再び山へ戻ろうとした。
そこで目を覚ました花は雨を呼び止める。
涙を流す花に一瞬の躊躇。
でも、涙を振り払い雨は山へ。

そして、雨を涙で引き止めるように呼び続けた花。
雨の遠吠えを聞き、花は笑顔を見せる。
元気で、ただそれだけを願って狼として雪より一足早く大人になった雨を
大切な息子を見送った。

最後の笑顔がとてもよかった。
雨の狼の姿はとてもお父さんによく似てましたね。
これからは山のリーダーとなって生活していくのでしょう。
元気であればと本当に願いますね。

一方、雪は草平から家のことを聞き、
自分の秘密を話すことを決めた。
ずっと胸が苦しかったこと。
あの時怪我をさせたのは私、と狼の姿を草平に見せた。
でも、草平は驚かず、知ってた、と答える。
そして、雪を安心させるように笑ってみせた。

でまぁ、草平の母親だよね。
再婚して草平のことをほったらかし。
なめとんのか?
マジでイラッとしたわぁw
この後草平はどうしたんだろうなぁ。
気になる。
雪とは仲良く続いてるといいね。

おてんばだったころが懐かしい雪の成長に、
泣き虫だった面影はなくなった雨の成長。

姉よりも一足先に大人となった雨。
雨はもともとの優しさと花の優しくあってほしいという願いがあるから、
きっといい山のリーダーになるでしょうね。
早く大人になりたいと思う雪。
ただ、女の子だけあって成長は早いよなぁ、と。
恋をしていることもあってグッと大人っぽくなってましたよね。
雪はこれからどんな恋をして成長していくのか楽しみですね。
きっと花に似たこれまた優しい女性になると思う。

花の強さと優しさをいっぱいに育った子たちですもんね。
いや、本当に花は強くて優しい人だった。
母は本当に強い人だ。

青空と真ん中に大きな雲。
というのは三作品続けてありましたねぇ。
やっぱりないとなぁ、と思うところです。

少し残念だったのは韮崎のおじいさんが後半ほとんど出てこなかったことかなぁ。
もう少し出てきてほしかった。
ただまぁ、親子のことを描くと時間的に無理になるからしょうがないわな。

主演のお二人に関しては見る前はどうなんだろ?
というのは少なからずありましたが、見始めると全く気にならなかったですね。
それも含めて、予想以上によかったので大満足です。

トラックバック

TB*URL

劇場鑑賞「おおかみこどもの雨と雪」

母は、強し… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201207210002/ おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)細田 守 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-06-2...

映画 『おおかみこどもの雨と雪』

おおかみこどもの雨と雪   お勧め度:お勧め   [大人向けファミリー映画]   7月21日(土)全国ロードショー   監督 : 細田守   脚本 : 奥寺佐渡子   キャラデザ : 貞本 ...

「おおかみこどもの雨と雪」1人で問題を抱えた先に辿り着いた温かい助け合いの心と運命の出会いによるそれぞれの生きる道

「おおかみこどもの雨と雪」は「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督最新作品で、大学に通う女子学生が知り合ったおおかみおとこと恋に落ちて2人の子供が生まれるが ...

おおかみこどもの雨と雪

この映画を観ている間,僕は"親"になった。

『おおかみこどもの雨と雪』 ことはそう単純ではない

 【ネタバレ注意】  一見すると、『おおかみこどもの雨と雪』は細田守監督の前作『サマーウォーズ』(2009年)の延長のようだ。  だが、ことはそう単純ではない。  『おおかみ

『おおかみこどもの雨と雪』

□作品オフィシャルサイト 「おおかみこどもの雨と雪」 □監督・脚本・原作 細田守 □脚本 奥寺佐渡子□キャスト(声) 宮崎あおい、大沢たかお、黒木 華、西井幸人、大野百花、...

「おおかみこどもの雨と雪」 −映画−

※小説「おおかみこどもの雨と雪」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。 久しぶりとなる映画のレビュー。 昨日「おおかみこどもの雨と雪」(監督:細田守)を観に行ってきま...

[映画『おおかみこどもの雨と雪』を観た(短評)]

☆凛とし、毅然ともしている一人の女性が、二人の「おおかみこども」を両腕に抱いているポスターが印象的な、期待の作品だった。  テーマとしては、突き詰めると「シングルマザー

映画「おおかみこどもの雨と雪」

注目の映画「おおかみこどもの雨と雪」を鑑賞しました。

映画「おおかみこどもの雨と雪」感想

映画「おおかみこどもの雨と雪」観に行ってきました。「時をかける少女」「サマーウォーズ」などの作品を手掛けてきた細田守監督の新作アニメーション。なお、今作は映画「メリダと...

「おおかみこどもの雨と雪」感想

 「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督最新作は、狼男と恋に落ちた女性と、その間に生まれたおおかみこどもとの13年間を描く、ハートフルファンタジー。

映画:おおかみこどもの雨と雪

 細田守監督の時をかける少女からもう6年もたつんですね。躍動的な描写が美しくて、ストーリーも楽しかったので、細田守監督が原作も手掛けたおおかみこどもの雨と雪も楽しみにし

おおかみこどもの雨と雪

初オンエアの視聴率も良く、映画公開時も、かなりのスマッシュ・ヒットだったそうですね。その快挙。もちろん、受賞も多々。「キャンパスで出会い、好きになった人は、たまたま狼男でした。やがて、不慮の事故からシングル・マザーになった、ヒロイン・花は、諸事情から田舎の一軒家に移り住み、やがて、子供達は成長し…」絶賛派がいる一方、「感情移入できない」と、評価は分かれたみたいですが、アニメならではの、リアル...

「おおかみこどもの雨と雪」 子育ての喜びと寂しさと誇りと

「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督の最新作です。 細田監督の「時を

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

template by Lazy Diary

copyright © ぐ~たらにっき all rights reserved.