edit

ネバー×エンド×ロール~巡る未来の記憶~/本田壱成(著) 読了

ネバー×エンド×ロール~巡る未来の記憶~/本田壱成(著)寂しいと言うか、悲しいと言うか。
あまり好きな結末ではなかったかなぁ。
って感じでした。
楽しめたのは楽しめたんですけどね。
この結末はちょっと自分勝手が過ぎる気がしました。
まぁ、悪戯と言えば可愛らしいものなのかもしれないけど。
そこまで読んできての、これ、と考えると、ね。

大震災からの復興を続ける札幌。
その街は大きな壁で覆われていた。
そんな街で3人の少年少女が出会ったのは白銀の髪をした少女だった。
そして、物語は動き出す。
進み続ける時間とそれに抗う少女の物語。

この人の次回作は読んでみたいと思いました。
結末は結末として世界観は好きだったんでね。
楽しみにしたいと思います。

関連記事
ネバー×エンド×ロール~巡る未来の記憶~/本田壱成(著)


以下ネタバレ含みつつ感想続けます。
というわけで、白銀の髪をした少女は遠い未来からのタイムトラベラー。
タイムマシンを使ったわけではなく、
彼女自身の何か特別な力がそれを可能にした。
そして、彼女がその旅をするきっかけとなる出会いが2029年に。
壁がまだ壁であるときの物語。

壁の向こうへ行きたいと思う駆。
でも、駆は正規の方法でそれは叶わないことを気付いていた。
他の幼なじみの二人はそれは叶うのに。
だから、自分は飛行機で壁を乗り越えようとした。
でも、だったら二人は何で一緒になってしてくれているのだろうか。

そんな中でやってきたのが未来から来たこよみだった。

彼女と触れていくうちに駆の中で変わっていく気持ち。
そして、最後の時に駆はこよみに自分も連れて行ってほしいと願った。
でも、それは叶わなかった。

逃げているだけ、と駆に言い残したこよみ。
それは事実で、その後も逃げ続けてたみたいですね。

夏月がこよみのことになると不機嫌になるのは当然だわな^^;

ところで、駆の両親は壁、のちの塔の建設に深く関わっていたみたいですけど、
どういう人たちだったんだろう?

そして、舞台は2053年へ。
勇夢の開発したアンドロイド・カレンに話し手が変わる。
勇夢がカレンに託す思い。
そして、駆によるテロ。
その中で出会うカレンと時を遡っていた少女・こよみ。

こよみが持っていたアンドロイドの腕はこの時に持ったままになってたわけだ。
で、それが過去で駆へと渡って、カレンの腕を切りとった。
駆の腕にカレンの腕を移植したってことなんでしょうけど、
そういうことが出来る時代になってたってことなんかな。

そこまでして起こしたテロ。
仮想世界に種を植え付けるために。
それを勇夢は手助けしていた。
でも、だからといって全てを勝手にさせるわけじゃなく、
約束のケンカをするためにカレンを向かわせていた。

カレンと駆との戦いの中で、駆が出会うことを求め続けた相手とも出会ってたのにね。
カレンに冷静さがとかなんとかいってたけど、自分もそれなりに周りが見えてなかったみたいですね。
夏月によって目と耳に若干の影響は残っていたのはあるにはあるだろうけど、
そこまで必死に求め続けていた相手の服装からサングラスくらいで気づけないものなのかな、と思いましたね。

でまぁ、カレンのピンチをこよみが助ける、というね。
こよみの言葉が駆に届いていたら何か変わっていたんだろうかなぁ。

しかしまぁ、駆と勇夢は大きく話に絡むけど、
夏月の扱いが少し小さすぎる気がした。
もうちょっと何かあってもよかったんじゃないかなぁ。
少しさみしかった。

ノアが作られた理由が明らかとなり、こよみの旅立ちである3367年。
こよみが話し手となり、世界の謎が明らかになっていく。
そして、こよみがどんな覚悟を持って過去へと戻ったのかが。

こよみを真似て作られたカレンのボディ。
その髪の色は白銀になっていたわけですが。
こよみはカレンに憧れて、染めてたんですね。

15歳になった彼女に与えられた権限。
そこで知った世界の事実。

テロまでして駆が仕込んだ種。
それを勇夢が取り除かなかったのはきっとあえてなんだろうね。
その種のおかげで代行品のデータにすぎない駆がこよみと出会うことが出来た。

そして、彼女の力についても説明した。
信じられなかったこよみだけど、
信じるしかない状況が重なっていく。

最初に星が消滅したっていうのはそういうことだったんだなぁ、とようやくわかったわけで。
宇宙が収縮していた。
それから守るために、少しでも時間を作るために作られたのが、
塔であるノア。
そして、その候補地に手を挙げたのが日本で震災によって復興している最中の札幌を利用した。
不自然すぎることがずっと続いてる状況にあるように思うわけですが、
そんなもんなんだろうか?
大人は知ってたんでしょうかね。
札幌に住む人たちはそのまま住人として選ばれた、とかってことなら、
そういうやり取りがあったんだろうなぁ、ってのはわかるけど。
その辺はよくわからないみたいだし。

でまぁ、宇宙の収縮。
星の不自然な消滅から気付いたことで、
15年前に地球はすでに消滅していたことをこよみは駆から聞かされた。
そして、それはそのままこよみの母の死を意味していた。
10年以上前に調査をするために出て行ったこよみの母が戻らない意味を。
その後、父親の言葉でそれは確実となったわけですが。

そして、ノア自身の寿命もわずかだった。
10年とされていた時間から5年が過ぎていた。
いつ消滅してもおかしくない状況。

その中で唯一逆らえるのがこよみだけ。
カレンは青い宝石のようなデータをこよみに託す。

こよみは受け入れたくない現実に戸惑った。
でも、それでも彼女は少しの希望をかけて過去へ遡ることを決めた。
覚悟を決めて。

最後は塔の頂上から飛び降りたわけですが、
飛び出た先って宇宙なんじゃないの?
と思うわけで。
ましてや、ノアの今ある位置が地球のその場所そのまま。
ということでもないでしょうに。
何でちゃんと時を遡れたんだろう?
とすごく疑問に思った。
それまでのが遡った場所自体は変わってなかったですからね。
宇宙が収縮して地球が消えたのに地球に降り立てたってのが、
どうにも納得できない感じでした。

でも、そんな長い長い物語は全て一人の人間の悪戯だった。
創られた世界。
その世界だけでも、残されたわずかな時間で少しでも未来が変われば、
という思いから組み込んだプログラム。

きっと、ここで綴られた物語は何回目かの世界なんだと思う。
少しずつだけど世界は変わって。
でも、それでも結末が変わることのない世界。

その最後に大きな使命を与えるのが自分の子供につけようと思っていた名前を持つ少女。
そんな過酷な運命をわざわざ背負わせることに何も思わなかったんだろうか?
時間をいくら遡っても、彼女が信頼できる人が現れるとも限らないし。
そもそも、データを渡す相手としてこよみが選ぶべき相手って誰だったんだろう?
計画が始まってしまった時点でいない勇夢にそれを託すことは出来なかったとは思うけど。
それ以上戻ったとして、何か変わることってあるのかな?
とも思うことでもある。

この話の中ではこの3人が鍵を握っていたのであって、
別の時ではまた違う誰かが鍵を握っていた、ということなんでしょうかね。

長く、そして、強い覚悟があった物語が全て作られた世界でしかなかった。
そんなことだとわかったら、普通にショックなわけでね。
でも、そんな悪戯をした世界は元にした世界が同じ結末を迎えるから、
宇宙が収縮していた。
本当の世界もまた残された時間はわずかだった。
ノアのような建物があった、というわけじゃなさそうだし。

社章の描写がカレンのデータと同じような感じなのが気になりますね。
それもまた作られた世界でしかないのかなぁ。

もしくは、何かが変わった本当の世界ならいいですけどね。

まぁ、色々と思うところもありましたけど、楽しかったです。


サイドストーリー
『ネバー×エンド×ロール 翼の始まり ~二〇二八年、札幌~』


すっかり忘れていたサイドストーリー。
1年前、14歳の三人の物語。
全ての始まりが夏月目線で語られる。
夏月に対しての物足りなさがこれを読んで少し解消。
自衛隊になると決める前の悩みを抱えていた夏月が、
駆の馬鹿っぷりに悩みが吹っ飛んでいく。
そして、自分では気づいていなかった自分の気持ちにも勇夢に気付かされる。
駆がこっそり一人で作っていた飛行機。
それは到底飛行機と呼べるものじゃなかったみたいですね。
勇夢がいて本当によかったな^^;
そんな飛行機が完成した先にあるものを思い浮かべる夏月。
それがこよみという存在によって壊されてしまうとは思いもしてなかった頃の話。
こよみが来るよりも前に気持ちを伝えていたら何かが変わったんだろうかね。
変わらないかなぁ、駆は全く気付いてなかったみたいだしね。
それでもずっと思い続けていた夏月。
別の世界では幸せになっていてほしいなぁ、と思う。


トラックバック

TB*URL

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

template by Lazy Diary

copyright © ぐ~たらにっき all rights reserved.