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ベイビー、グッドモーニング/河野裕(著) 読了

ベイビー、グッドモーニング/河野裕(著)「もう一つのサクラダリセット」ということに関しては、
違うんじゃね?
と思うところですが、面白かったです。

一人の死神の少女が夏に訪ねた4人の人間の物語。
死ぬことについてではなく、
生きることについての物語。

不器用で優しい感じというのは「サクラダリセット」に似てるとは思いましたけど、
そういうことなんですかね?

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以下ネタバレ含みつつ感想続けます。
一つ目は7月末に病室で死を迎えるはずだった少年。
彼の寿命を8月に入るまで死神が延ばした。
自分のノルマのために。
正直、なんつぅ身勝手な、と思いましたね。
ただ、彼は死神のおかげで生きたいと思えるようになった。
大切な人を傷つけることになってしまったりもした。
それを謝って、最後は嘘を突き通して笑顔で見送った。
生きたいという気持ちを持って。
彼女が笑顔であり続けることを願って。
生きたいと思えるようになった。
でも、彼は約束の時間に息を引き取った。
安直に奇跡が起きたとかになったら、読むのやめてましたね^^;

二つ目は一つ目の彼が読んでいた本の作者。
自分の理想とする小説を書くために、一度自分を殺した小説家。
死ぬ前に死神から届けられた一冊の本。
自分が最後に書いた本。
ページがめくるたびに自分が苦しんでいく。
それは担当編集者から送られてきたもの。
今更自分の本を読んで何になる。
そう思いながら読んだ最後のページにたった2行が付け加えられていた。
奇跡が起こる話。
それまでの彼が書いてきたような展開。
でも、彼は涙を流した。
そして、もう一度小説を書くことを決める。
理想とする書き出しなんかじゃなく、担当編集者さんと話し合って作っていく物語を。
そう思い立った直後に彼は事故で亡くなった。
最後に遺したのは編集者さんへのメッセージ。
小説ではない、でも確かに彼の思いが詰め込まれたメッセージを。

三つ目は他の三つと関係はほぼないですが、
死神が自分をサエキって名乗ったのは、
一つ目と四つ目の佐伯春花からとったんでしょうね。
10日間延命させられた男性。
彼は翌朝に朝日が見れなかったら死ぬことを決めている女性を助けるために、
寿命を延ばされた。
ノルマのために延ばされた一つ目よりもっと身勝手だな、と。
でも、彼にしか出来ず、彼がすることで彼もまた救われること。
最後のヘリコプターのときは死神も乗ってるんだろうなぁ、とは思ってましたけど、
やっぱり乗ってたみたいですね。
その後のクラウンとの話でしてましたね。
寿命を延ばすことでどうなるかわかっててしてるんかね?
女性を助けたことで良い人が一人生まれた。
もう一人は残された時間の中で見つけることが出来たんでしょうかね。
たぶん見つからなかったんだろうなぁ、とは思う。
でも、もういたんだと思う。
死神がそのもう一人だと思う。

四つ目のタイトルのクラウンは新しく出来たお祖父ちゃんのことじゃなくて、
春花のことだったんですね。
再婚相手の家へ行くことになった一つ目の話に出てきた佐伯春花。
本格的に家を移る前に訪ねた時、
新しいお母さんやお父さんから逃げた先は新しいお祖父ちゃん。
でも、彼女にとって彼はお祖父ちゃんではなかった。
クラウン。
サーカスなどの道化師。
それをしていた中で事故にあって足を悪くした。
しかし、大切な人を亡くした後。
クラウンは彼女のことを忘れていた。
でも、それは全て嘘だった。
泣き続ける彼女を笑わせるための。
自分のところに逃げ込んでしまえば、さらに辛くなってしまうから、
わからないフリをしていた。
その目的によって彼は寿命をすぎても生き続けていた。

回収した魂がその後どうなるか。
それは死神はハッキリと知らないのに、
何でどうなるかを春花に話すことが出来たんだろう?
そういう部分がちょっと設定がハッキリしてないんじゃなかろうか?
と思いました。
だからといって、別に矛盾してるとは思わないんですけどね。

クラウンの話はよかったんですけど、
最後の死神の話がやっぱりもやっと残った感じかなぁ。
ただまぁ、彼女から見た彼への思いが知れたのがいいですね。
二人の間にあったものって一体何なんだろうなぁ。

四つの死を見た死神。
彼女はこれからどうなっていくんでしょうかね。

そんな死神の少女がメインとなる短編がザ・スニーカーWEBにて掲載中ということで、
読みました。
4人に出会う前の話。
その時彼女は寿命を前に死を望む男性の魂の回収をしようとしていた。
どうすべきかを悩んでいた。
死神は人を殺すことはない。
でも、魂を出来るだけ綺麗な状態で回収するように言われている。
でも、日が増すごとに魂は濁っていく。

そんな中で出てきたもう一人の死神。
古書店を営む死神。
彼女は多くの死神を見てきたらしい。

最初は死神の少女のようにいろんな事に悩む。
でも、次第に時が来れば回収するようになる。

そんな風に彼女は言った。
そんな直後にした少女の4つの無茶。
古書店の死神の言っていたような死神となるのか。
それとも、彼女は人間の死に悩み続けながら回収するのか。

きっと変わらず悩みながら回収していくと思いたいですね。
それがきっと、彼女と彼女に回収された魂を救うのだと思う。


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