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妖狐×僕SS #11

『陽炎』
語られる双熾の過去。

先祖返りが生まれた時。
大事に敬い育てることで、さらなる繁栄を。
でも、それとは違う解釈もあった。
強大な力を持つ九尾の妖狐は厳重に軟禁されていた。
それがその家では繁栄されるとされていた。

そして、双熾は軟禁されていた。

乏しい知識、小賢しさ。

最初はメイドだった。
人肌恋しい男を演じる。
そして、より強い女性へとにじり寄っていく。
一族でもっとも力を持つ女性にまで辿りついた。

彼女は女性として扱えばよかった。
彼女のペットとなることで知識を得ることが出来た。

でも、双熾はそこで止まらなかった。
本当の自由を手にするために。

パーティーで出会った女性。
それが蜻蛉の母だった。

彼女の前で再び孤独な男を演じた。
でも、彼女にそれは通じなかった。

あなたが相手をするのはうちの息子、と。

男性ですか、初めてですが頑張ります。
いい笑顔だなw

そして、蜻蛉との出会い。

靴を舐めろ。
何の躊躇いもなく舐めようとした双熾を
プライドはないのか、と。
自尊心とは自分あってのこと。
蜻蛉の玩具である自分には関係のないこと。
そんな双熾を、つまらない男だ、と蜻蛉は言った。

そんな彼から頼まれたのは婚約者である凜々蝶との手紙のやり取り。
面倒だからと蜻蛉から適当にいい感じに返事を書けと言われた。

蜻蛉そのものを書けばどうにもならない。
というわけで、蜻蛉という名の架空の人物を創り出し、
彼女とのやり取りを始めた。

簡単なこと。
ずっとしてきたことだったから。
でも、思ったようにはいかなかった。

感動というものはなかった。
笑う時も泣く時も相手の反応を見てしてきたこと。

だから、彼女が感動したことに対しての返事がうまく書けなかった。

双熾はあの物語のあの人物なら、と考え、
蜻蛉という男性をさらに創りだしていった。

蜻蛉として彼女に好かれることが仕事。

なのに、

想像からの錯覚。
自分の感情ではない。
今まで役に引っ張られたことはなかったのに。

凜々蝶とのやり取りで演じている自分が、
自分そのものに感じるようになっていた。

夏休みに蜻蛉の家にやってくることになった凜々蝶。
双熾は楽しみにしていた。
どんな女性だろうか、と。

驚いたか?
木陰から見ていた蜻蛉は双熾に聞いた。
いいえ。
双熾はそう応えた。
でも、本心は違った。

驚いた。
自分と同じように代理が書いていたのではないか。

悪態をつく彼女。
彼女にはそれが許されるのだ、と双熾は思った。
自分とはあまりに違う彼女。

でも、何よりも驚いたのは自分が落胆していることだった。

凜々蝶がストレスで吐いた。
双熾は蜻蛉から凜々蝶のことを聞かされた。
彼女が代筆を頼んでいないこと。
学校ではいじめられていること。

飼われているという意味では貴様と一緒か、と。

それならば、器用に立ちまわって生きなければ。
自分に重ね双熾はそう思った。

でも、凜々蝶の後ろ姿を見て双熾はその考えは違っていたことに気づく。

手を強く握る凜々蝶。
幼くも日々敏感に感じる。
それを誰が気付いているのか。

手紙でのやり取りで色々なことを知った双熾にだからわかること。

この感情だけは自分だけのものだ。

夏休みの後から凜々蝶はより内面を書くことが多くなった。
自分に打ち明けてくれている。
でも、気づく。
自分ではなく自分が創った蜻蛉にだ。

そんな中で双熾は初めて自分のことを書いた。

その返事。

蜻蛉を遠くに感じていた。
初めて少し近づけた気がします。
初めて本当のあなたが見えた気がします。

初めて書いた自分のことに凜々蝶は気付いてくれた。
そのことがとても嬉しかった。

そして、今へ戻る。

あの手紙は私が書いていたものではない。
蜻蛉は告白する。
知っているが?
凜々蝶は何も驚かなかった。
僕が待っていた相手は君じゃない。
君があんな手紙を書くわけがない、と。

何だ、つまらんな。
そして、到着したエレベーターに蜻蛉は凜々蝶を乗せた。
二人きりになるために。

そして、蜻蛉は自分の汚い字を見せた。

蜻蛉の字はここで明かすわけだから、
指令のを先にやっちゃいかんよなぁ^^;

蜻蛉は双熾を道連れにしようとした。
でも、つまらない結果になった。

そして、蜻蛉は告げた。
あの手紙を代筆していたのは双熾だ、と。

凜々蝶はその言葉で全てが繋がる。
彼がいつも自分のことを知っていくれたことに。
気付いてくれたことに。

再び上昇したエレベーター。
扉を開き二人は相対する。

君だったのか。

頬を赤らめて抱きしめる双熾が何か可愛かった。

いいえ、いいえ。
気付いてくれたのはあなたです。

蜻蛉が大人しいと違和感を感じるなw
ただ、いい去り方でしたね。

次回、二人のこれから。

どういう話かわかったわけですが、
ここで区切るのなぁ、と。
いいところではあるんだけど、
やっぱり本番はその後からだと思うわけで、
終わるのもったいないなぁ、と思うところです。

白鬼院凜々蝶:日高里菜
御狐神双熾:中村悠一
反ノ塚連勝:細谷佳正
雪小路野ばら:日笠陽子
渡狸卍里:江口拓也
夏目残夏:宮野真守
青鬼院蜻蛉:杉田智和
髏々宮カルタ:花澤香菜

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