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ライオンハート/恩田陸(著) 読了

ライオンハート/恩田陸(著)ハズレがある恩田陸さんですが、これはアタリだなぁ。
楽しみにしてたから、そのせいでダメだったぁ、
とかってなるんじゃないかと思ってたのですが、
なんてこたぁない。
かなり面白かったです。

時を超えて続く恋の物語。
すごく切なかった。

これは結局、何が始まりだったんだろう。
いや、始まりとされることは書いてあるのは書いてあったんですけど、
それだけが始まりなんだろうか?
という感じました。

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ライオンハート/恩田陸(著)
好きだったのは「春」と「記憶」ですね。
繋がりのある二つだったりするのですが、
その繋がりは抜きにしてどちらも好きでした。

「春」は出会いが本当に短すぎる。
そのほんの一瞬のために全てがあった。
本当にそれでよかったのだろうか、と思わずにいられなかった。

幼い頃から夢に見てきて、そのせいで色々と苦労させられることもあって、
家族を病気で失った後は戦場に送り込まれ、
なんとか生き延びて、怪我した足をなんとか歩けるようなるまで治して、
出会いの場所に辿り着いて。
やっと出会えた彼のエリザベス。
でも、彼女には婚約者がいて、出会いはほんの一瞬。
そして、彼があの場所で彼女と会うべくして会ったのは、
彼女を助けるためだった。
木に落ちた雷。
それから守るために。
彼女に自分の状況を気付かれないように彼女を見送り、
そのまま永遠の眠りへ。

そりゃ、戦場に戻ってもどうにもならなかったのかもしれない。
幸せな中で眠りにつけるほうがいいのかもしれない。
でも、もっと二人の時間があってもよかったじゃないか、と。
いくらなんでも短すぎるよ。。。
本当に切なかった。

「記憶」は「春」のエドワードのおじいさん。
「春」のエドワードのおじいさんの話だなぁ、ってのはすぐにわかったのですが、
最後の展開にはビックリしましたねぇ。
そうきたか、と。
孫の切なさとは違い、こっちは途中まで複雑な気持ちではあったのですが、
最後ですごく幸せにしてくれました。

エリザベスの夢を見るようになってから奥さんのことが疎ましく思うようになった。
自分のエリザベスはいつ目の前にやってくるのかと、待ち遠しくなって。
それで、奥さんを傷つけた。
そんなことがあってしばらく、奥さんが子供の頃の記憶がないことを知った。
そして、新たな住まいがかつて彼女が暮らしていた家だったということ。
そこからは、エリザベスのことを思い出すことも少なくなった。
でも、ある日彼女が夢を見て青ざめている姿を見て、
自分は許されていないのだと思った。
彼女に呼び出された時、自分は一人になるのだとエドワードは諦めた。
自分の責任なのだから仕方が無い、と。
でも、彼女が言おうとしたのは違った。
夢を見る、と。
それはエドワードの夢だった。
彼女の本当の名前。
彼のエリザベスはずっとそばで愛してくれていた人だった。

どれも短い出会いの話だった二人の物語なわけですが、
この話に関しては知らず知らずのうちに一緒にいた。
切なさとかではなく、嬉しくて涙が出てきましたね。

お互いに残された時間はそんなにないのかもしれない。
でも、本当のことを知った二人。
残された時間をどう過ごしたんだろうなぁ。
ひどくあたったことは事実として残ってるわけではあるのですが、
エリザベスとしてではなくエレンとして、これからも暮らしていったんでしょうかね。
最後の言葉を遮ったということは。

幸せな最期だといいなぁ。

1978年のプロムナードと「エアハート嬢の到着」。
これのエドワードはどちらもそのまま同じ人だった。
ということでいいんですよね。
何で、彼は二人のエリザベスと出会うことになったんだろ。
エドワードを助けるために必要なことだったから。
なんでしょうけど。

年老いたエドワードが出会ったエリザベスは
エドワードとの物語をどのタイミングで思い出すことになるんだろうなぁ。
彼女はその時、何を思うんだろう。

エドワードに出会えず亡くなったエリザベス。
彼女みたいなことは他にもたくさんあったのかなぁ。
こういうのがあるとわかると、ほんの一瞬でも出会ってほしいと思う。

「天球のハーモニー」歴史に疎い僕でもさすがにこれはわかった。
このエリザベスはエリザベス一世だな、と。
そんな彼女がこの永遠に続く恋の物語の始まり。
のような言い回しをエドワードがしていたわけですが、
過去だけでなく未来のことも知るっていうのが、
不思議ですよね。

彼らが見たロケットって何なんだろう?
と思っていたら、アポロだったですね。
あの時二人には何が起こっていたんだろう。

「イヴァンチッツェの思い出」はどういうことなんだ?
と意味がわからんまま読んでいたのですが、語り手がエドワードというわけではなかったのね。
語り手はエドワードかエリザベスなのだと思い込んでたから、
してやられたぁ、って感じでしたね。
で、真実はまた残酷だなぁ、と。
別の方法はなかったんかねぇ。

厚さは結構あるのですが、面白かったので思いの外早く読み終わりました。


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