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神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。/行田尚希(著) 読了

神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。/行田尚希(著)これまでデビュー作のシリーズの良さがあっただけに良かったけど、
と思うことが多かったわけですが、今回はデビュー作に負けず劣らずな良さだったと思う。
最後の話はもう少しボリュームがあってもよかったのに、と思いましたが、
全体的に本当に満足しました。
語られていない部分がありますし、ぜひ続いてほしいけど、そういうのはないのかな。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
着物に対する興味のなさのきっかけであったり、それを引きずってこじらせたのは
どう考えても両親が悪いわな。
自分たちが溺愛しているから、娘も自然と、とはそれは無理な話だわな。
なのに、前情報もなく、その後のフォローもなくじゃどうにもならんよ。
その上で強引に悉皆屋で学ばせようとするのはどうかと思うわ。
結果としては狙い通りの方向に動いたけど。
それにずっと間違えてしまったと考えていたことだったのもわかったけどもさ。
やっぱりやり方は好かんかった。
相手側である千明にも迷惑をかけましたしね。
紬が橘屋で下宿すると決めたら、そのことで千明にまた迷惑をかけたし。
送り出したのなら、そこは思うことがあろうが飲み込んで送り出せや、と。

3話が好きだったかな。
着物に付けられた家紋に込められた想い。
単なる家紋ではなく女紋と呼ばれるもので、
母親代わりだった姉が嫁入り道具とするはずだったもの。
それを継いでほしかったけれども、入婿だったため唯一の孫娘に渡すのをずっと躊躇っていた。
奥さんの方は話を聞いて構わないと言っていたみたいですけどね。
それは受け取る方だけじゃなく、渡す方にも不安はあるのだと。
紬もまた祖母はそういう不安を抱えていたのだろうと気づくきっかけにも。
千明が気付いたことで、祖父がどういう想いを持っていたのかを知ることになったわけですけど、
彼女が言っていたように祖父自身から話を聞きたかったですよね。
不安だったのはしょうがないですけど、大いに混乱させるような渡し方にはならなかったでしょうし。
そこまで深く知ることになるとは思っていなかったのかもしれないですけどね。
正直、自分の家紋なんてわからない人の方が今の時代ほとんどだろうし。
そこに女紋とか出てきたらなんのこっちゃなことになるでしょうし。

最後は千明の過去や師匠である伊織のこと。
ここまでの流れあっての最後のこの話なので本当によかった。
伊織さんが本当に自分の子供として教えていたんだな、と。
その一方で小夜子さんは自分が言ったことが呪いのようになってしまったと後悔していたりも。
それが千明の存在によって伊織さんも小夜子さんも救われることに。
二人を救っていた千明が再び小夜子を救うことになるようですが、
血の繋がらない孫娘とはちゃんと話をすることが出来たのでしょうかね。
他の着物を持ち込んだ人たちのように大切なかけがえのないものとなってほしいですね。

悉皆屋についてはもう少し知りたかったかな、と読み終わっては思ったかな。
描かれてはいたけれども、どちらかというと着物そのもののことが中心になっていた感じが。
千明が自分で織ることもしているから、そうなるのも仕方がないですが、
もう少しほしかったかな、という感じでした。

続きが出ることを楽しみにしたいですねぇ。



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