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文具店シエル ひみつのレターセット/さとみ桜(著) 読了

文具店シエル ひみつのレターセット/さとみ桜(著)「明治あやかし新聞」も好きでしたが、
それ以上に好きな作品でした。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
色々と空良が勘違いして覚えていたという感じの話がありますが、
カレーの話は可愛らしかったですね。
陸久がゴロゴロとした具材が入ったカレーが好きだから家のカレーはそうなった、
と思っていたようですが、実際のところは空良がお手伝いをした時のカレーが
そういうものだったんですね。

ブラコンでシスコンな兄妹。
妹の存在に救われた兄と、兄が自慢でしかない妹。
そして、兄と同じように空良の存在に救われた兄の親友の拓海。

そんな二人の存在に今度は空良が救われることに。
というわけで、ある理由で会社を辞め実家に戻って引きこもっていた空良。
そんな中で起こった拓海の事故。
目を覚まさないままの彼を前に陸久は羨ましがって目をさますんじゃないか、と考えて
二人で行く約束をしていた海外に行くことに。
けれど、会社を辞めて始めた文具店があり、しばらく閉じることになるのはお客さんに申し訳がない。
それならと、空良が店番をしてもらえないか、ということで始まった店番。

最初は外に出るのを拒んでいたものの、兄の想いを知って兄の作り上げた場所を守りたい、
と店番をすることに。
そんな中で現れたのが病院で眠ったままの拓海だった。
生霊として空良の前に登場して驚かされたり、
相談に乗ってもらったり。
心が折れそうになった時には言えなかった理由を話したりも。
そして、隠していた想いに対して向き合うことを決めるように。

シエルに来店するお客さんの悩みを解決する一方で、
そんな空良自身も寄り添う中で自分と重ねて、自分の抱えていたものも少しずつ
折り合いをつけていけるように。

最初の話は空良とよく似た理由でSNSを避けていた女子高生。
文通によって人と繋がることは続けていた中で、
事情を知らない友達からの会いたいという手紙にどうしていいかわからなくなる。
無理をしてSNSに参加したばかりに余計に傷ついたのが辛いよなぁ。
毎日のように顔を突き合わせる相手なのに、さらにそういう繋がりを持つ、
というのは無駄でしかないと思うなぁ。
それなのに傷つけられるって余計にね。

そんな中での友達との再会は空良の提案した内容を書いたのであれば、
いい方向へと向かっているということになるわけで、
その後も順調なのでしょうね。
高校は知らない人ばかりのところに行ったわけだし、
そちらでもSNSとかを気にしなくてもいい繋がりが出来るといいですね。

消しゴムの話は邪推するのはしょうがないなぁ。
冒頭部分の電話の感じはどう考えても、そういうことだと思ってしまいましたね。
そこに来ての空良が聞かされた噂ですからね。
けれど、実際はすごくいいお母さんだったというね。
そして、職業体験という形でシエルを手伝ってもらい、消しゴムをプレゼント。
消したいものはシミだったというね。
安心したし、二人の微笑ましい姿がすごくよかった。

親子のような上司と部下。
本当に親であり、子であったのでしょうね。
だからこそ、門出を喜んでほしかった。
だからこそ、一言相談してほしかった。
そんなすれ違いからの餞別。
大事に使っていた手帳のカバー。
それは悪友からのプレゼントだったんですね。
それが今度は彼の子供のような部下へと繋がる。
たまらなく素敵な話だった。
どれもいい話でしたけど、今回の話の中で一番好きだったかなぁ。

翔太くんの話のときにもちらっと出てきた緑川さんは万年筆のインク。
旦那さんが愛用していたインクを探していたわけですが、
色の名前に答えがあったんですね。
顔も知らない相手との文通。
その中で文字に込めた想いはインクの色にまで込められていたんですね。
お孫さんへのお祝いのインクに緑川さんはどのような想いを込めて、
どんな色をプレゼントされたんだろうなぁ。
受け取ったお孫さんがさらに誰かへとその想いを繋いでいってほしいですね。

これで終わり、という感じではなさそうなので続きを楽しみにしたいですね。



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