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吉原百菓ひとくちの夢/江中みのり(著) 読了

吉原百菓ひとくちの夢/江中みのり(著)吉原という場所柄、
ドロドロとした部分があったりするのかと
不安に思っていたのがあったのですが、
そういうものはほぼなく、
ほのぼのとしたというか、和やか、穏やかというか、
明るさが強く描かれていた感じですかね。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
ドロドロしそうな感じの部分は最初にちょろっと出ていた位ですかね。
ただ、それが最初に来ていたので不安が膨らんだりはしましたけどね^^;
でも、読み進めていくとそういう部分はほぼなくて楽しめました。

太佑とお客さんとのやり取りが面白かったねぇ。
ていうか、台所に入り浸るお客さんってどうなのさw
花魁じゃなく、料理番にお客がつくというね^^;

太佑の生い立ちもなんだか不思議な感じで。
本来なら生まれなかった可能性の方が大きかったわけですが、
母親の一番のお客さんが変わり者だったために生まれることに。
そして、生まれる前から将来が決められていた。
でも、その未来を太佑はよかったと最後にしっかりと思えるようになってましたね。

吉原という閉じた世界しか知らなかったわけですが、
それでいいのだと思えるように。
その中で自分がしたいと思えることがわかったから。

というわけで、お客さんの問題を太佑が作るお菓子が解決していくきっかけに。
問題をふっかけられてもいたけれども。
それに太佑は向き合って望むものを届けていく。
朝露の無理難題を普段から受けてるから、慣れたものでもあったのでしょうかね。
工夫は必要なものではあったわけですが。
作ったものの工夫だけでなく、それの届け方も工夫してましたね。

一番好きだったのは普段は厳しい顔ばかりの番頭さんの恋ですね。
作ったものは、そこまでの話に出てきたものと変わらないわけですが、
吉原で働くということに対して抱えているものだったりが描かれていたのがよかった。
恋自体は上手くいかなかったものの、そこで最初から諦めないでよかったですね。
少し変化が出たようですし。

太佑の想い。
朝露への想いは徳之進が言うように、そこまで想ったら、
それは愛しているということだと思うけどね。
太佑はどうあっても否定し続けるようですが。
男女としての愛情ではなく、家族のような愛情、ということなんでしょうかね。
そうはどう考えても思えないけどね^^;

太佑のお菓子を食べなくなった朝露の想い。
子供のような笑顔になってしまうから食べないようにしてるのか、とか思っていたんですけど、
そもそもの部分で間違ってたからアホな考えをしてたなぁ、と。
花魁になりたくてなったわけじゃないのにね。
朝露は不幸せでありたかった。
それが彼女の支えだった。
ここにいる自分は不幸せで、外に出た時に本当の幸せが待っている。
だから、それまでの辛抱なのだ、と。
けれど、その気持ちを太佑のお菓子が揺るがした。
太佑と出会い、彼のお菓子を食べる中でその気持ちが薄れていることに気づき、
食べることをやめた。

その話を聞いても太佑は諦めなかった。
お客さんに一夜の夢を見せる花魁。
その花魁に夢を見させるのは誰なのか。
これは夢だから、と太佑は思い出を模したお菓子を届けた。
少しでも幸せになってほしい、と。

太佑はこれからも夢のようなお菓子を作り続けていくのでしょうけど、
本当にそれは幸せへと続くのか、というのは少し不安なところですね。
これからについては思うところもありますけど、楽しんで読むことが出来ました。
思っていたよりもよかったです。



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