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エキナカには神様がいる/峰月皓(著) 読了

エキナカには神様がいる/峰月皓(著)前作がハズレだったので、どうだろうかと不安だったんですけど、
かなりよかったです。
人と人との繋がりに何度も涙が流れそうになりました。

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エキナカには神様がいる/峰月皓(著)


以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
最初の話は仕事に忙殺され家族との繋がりもなくなっていた男性。
そんな中で見た駅員と利用客の揉め事。
利用客が駅員を殴ろうとする姿に気持よくなっていたわけですが、
それを止めた男性がいた。
騒ぎは収まってしまい、彼は舌打ちをした。
そんな彼は死を選ぼうとしていた。
それを止めたのもまた揉め事を止めた男性だった。
あなたの背中を描かせてほしい、と。

彼はエキナカのカフェで働きながら駅の風景を描き続ける中神だった。

彼の言葉で思いとどまり、少しの時間付き合った。
その時間は桜庭に少しの旅を感じさせた。
その時に中神が描いた自分の背中に桜庭を力をもらうことになる。
そして、背筋を伸ばした桜庭を見てくれている人はいるのだと彼は知ることになる。
これからもまだ上司にいびられることは多いだろうし、
今後さらにキツくなることもあると思う。
けれど、一歩を踏み出してみたら一人じゃなかったと気づけた。
それだけで全然違うのでしょうね。

そして、それは会社だけではなく家庭でも。
中神が桜庭に声をかけたきっかけは長く話もすることもなかった娘さんからだったんですね。
全く予想だにしてなかったので思わず泣きそうになりましたよ。
彼女の生活圏内を知って、自分のくたびれた背中を見ていたのかと知ることになった。
そんなお父さんを心の底から心配して、でも直接は伝えられず。
そんな時に頼ったのが中神だった。
どうしたらいいのかわからなかったのでしょうね。
でも、それは中神自身にもいい変化になったものだった。

二つ目の話は桜庭が娘に頼まれたチョコを代わりに買ってもらった女性の話。
元気のよい小柄な女性な林。
その裏には生まれ育った街をカバンひとつで逃げ出したという過去があった。
そして、その過去と向き合う話。
母が危篤と知って急いでいた。
そのせいで事故を起こしてしまい、相手の顔に大きな傷を残してしまった。
その男性との歪んだ愛。
その結果が逃げるということに。
林が招いてしまった結果、ではあったわけですけど、
彼女はしっかりと自分の過ちと向き合い、自分の気持ちをハッキリとぶつけた。
ただ、それが出来たのは逃げてきて出来た繋がりのおかげ。
本当はまた逃げようとしていた。
でも、書店で働く事情を唯一知る友人の松上。
そして、最初に助けてくれた中神の存在だった。
一度はまた逃げようとした。
でも、立ち向かってよかったと思える繋がりが彼女にはあった。
二人だけじゃなく常連客やエキナカで働く知り合いとの繋がりが彼女を支えてくれていた。
相手もこれからちゃんとやり直すのでしょうけども、まさかそこにおさまったままだとは、
という感じでしたね^^;

三つ目は「えきっぷ」が出来た頃から警備員として勤めている男性の話。
ただ、彼の目線ではなく彼の後輩目線で。
施設で育った彼だからこそ伝えられた真っ直ぐな親子の想い。
何かに理由をつけて避けるのではなく、真っ直ぐ向き合うことの大切さ。
それを彼自身が思い描いていたことだったからなんでしょうね。
一度は間違った伝え方をしたりもしたんですけど、
中神がどうありたいのかと問い、一度冷静になったことで、
かつての自分が思っていたことを思い出して、
本当に聞きたかったことを伝えることが出来た。
その中で彼自身の気持ちの変化も。
警備員は所詮つなぎの仕事でしかないと思っていた守下ですが、
彼の誇りとなる仕事へ。
警備員の見守る姿は父親のよう。
その言葉がさらに彼に力を与えてくれたみたいですね。
恋の方はどうなるのか、というのも気になりましたね。

四つ目は「えきっぷ」で働く人たちにとっては大先輩となる女性の話。
詐欺師に騙されて全財産を奪われ、娘に頭を下げるしかないと思っていた中で、
さらに駅でカバンを盗まれることになった。
そして、一時的に彼女は最近の記憶を失ってしまう。
けれど、夢のようなその時間で思い出した過去は彼女に大きな力を与えた。
その一方で中神のことも描かれたりも。
彼がどうして駅を守ろうとしていたのかがわかることに。

その中神の話が最後の話。
父親が守ろうとしていた駅を代わりに。
何があったのか知った時には自分の目も痛くなりましたよ。
いくらなんでもひどすぎるでしょ。
何でそんなことが出来るのか。

中神はかつての尊敬していた父親を取り戻して欲しくて駅の風景を描いていた。
けれど、彼の絵ではお父さんに気持ちは届かなかった。
その理由は生の姿ではなかったから。
お父さんの気持ちを動かすきっかけになったのは事情を知った林が動いていたからだった。

駅で個展を開くことを決めた中神は駅で問題を起こさないよう注意されていたわけですが、
それでも林はあなたは動くでしょうとわかりきっていた。
だから、少しでも彼の負担を減らすために彼のしていたことを代わりにしていた。
林だけじゃなく林に助けられた人や職員の人を中心に。
少しずつ膨れて30人近い人数になったんだそうな。
それでも取りこぼしはあった。
そんなことを中神は一人でしていたのだと、その大変さを知ることになる。

中神の方は自分は一人ではなかったのだと知る。
みんなのために、というみんなに彼は自分を含めていなかった。
けれど、そのみんなにとって彼も含まれ。
彼に頼る人たちが彼の頼れる場を作った。
一人じゃないんだと。

そして、中神が作った繋がりは自分一人では変えられなかった父親の気持ちを動かした。
駅に近づけなくなっていたお父さんは、駅での多くの揉め事を前にいてもたってもいられなくなった。
それは近づけなくなっても彼の中で駅がとても大切な場所だということに変わりはないということだった。
そして、その時に見せた彼の表情は中神が尊敬していた父の顔だった。

自分を中心にした知り合いの繋がり。
それが起こした色々な奇跡。
中神はそれを胸に外の世界へと飛び出した。

その時、林は気持ちをちゃんと伝えて、それに中神は応えたのかなぁ?
とか、色々とその後が気になる人たちが多いわけですが、
最後まで本当に楽しめました。
読む前は不安だったために、なかなか読めないでいたのですけど、
読み始めたらあっという間に読んでしまいました。
人と人との繋がりの温かさが本当によかった。

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