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路地裏のあやかしたち 3 綾櫛横丁加納表具店/行田尚希(著) 読了

路地裏のあやかしたち 3 綾櫛横丁加納表具店/行田尚希(著)最後まで面白かった。

妖怪と表具との出会い。
そこからさらに繋がった人との出会いや経験。
それらが全てこれからの洸之介の力となる。
洸之介だから出来るこれからを歩くための力に。

妖怪たちの話は蓮華の話がやっぱりよかったですねぇ。

これまでに出てきた妖怪たちも出てきたりして、
少しずつ洸之介の中にある気持ちを揺らしていくというのもよかったですね。
みんな洸之介のことを気にかけてる、好きなんだろうなぁ、というのがよくわかった。

行田さんの次回作も楽しみにしたいですね。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
音痴の鵺、奏。
元々は普通の声だったらしいけど、鵺としてはそれを気にして音を外す練習をしていたら
音痴から戻らなくなったらしい。
けれど、彼は50年以上メジャーデビューすることを諦めていなかった。
一直線に夢を追い続ける奏。
そして、そんな奏に振り回される先生。
その先生のもっていた画帖が依頼となった。
しかしまぁ、奏は先生に迷惑かけすぎだろ^^;
環さんが保護者として釘を差したから、これからは少しはマシになるでしょうけど。
先生の祖父と画帖を送った画家たちの夢。
そして、先生と奏の夢。
夢を持ってキラキラと輝く姿に洸之介は自分はどうなんだろうと悩まされることになる。
自分の平凡すぎるこれから。
でも、祖父が、母が、と自分の気持ちがなかった。
本当の自分がどうしたいかを見て見ぬふりをし続けた。
奏は何度も高校生を続けてるらしいけど、特徴的な歌を歌ってたら気付かれんもんなのかね?^^;
歌でなくても目立ってるしねぇ。
学校外に噂が広がったら、あれ?ってな感じに思う人もいそうな気が。

弁護士の天邪鬼、凪紗。
表具師と茶道。
そんな中で知ったのは自分が環さんの弟子としてあまりに知識がないということだった。
でも、それは自分が受験生ということ、将来表具師になるつもりがないということを
知っている環さんがその時必要な知識を選りすぐって教えてくれているのだと。
でもそれは基礎ですら知らないことばかりであることを知る。
そんな自分に対する憤り。
そう思う自分の気持ちに対する戸惑い。
その中での依頼は環さんの別の一面を、今後は見たくない一面を見ることとなる。
そりゃ、キレるわな^^;
勉強代としては高くついたらしいけど、自業自得だからしょうがないよね。
京都弁を話し始めたら環さんは本気でキレている、ということらしい。
はんなりとした話し方だから余計に怖いだろうなぁ^^;
凪紗は凪紗でその依頼者の言葉に傷ついたりも。
天邪鬼の中でも素直な方な彼女。
自分が正しいと思ったことが相手にはそうじゃなかったり、
それで何度も失敗し、今回もか、と。
けど、環さんのおかげでこれからを胸を張って頑張っていける、と。
お騒がせな女性でしたけど、根はいい妖怪でしたねぇ。

表具店で顔馴染みの雪女、蓮華。
話は10年前のほんのひと時のことがきっかけに。
天真爛漫な蓮華。
けれど、彼女の本当の姿は人見知りだった。
洸之介とは最初からそんな感じがなかった。
それは環さんの弟子だから。
揚羽の元バイト先では最初は全然違ったんだということ。
けど、揚羽の信頼してる人たちだから次第に打ち解けていった。
そんな彼女が自分から声をかけて仲良くなった女性。
その彼女が新聞に掛け軸を作った人を探している、と。
それを作ったのは兵助。
けれど、それを依頼したのは蓮華だった。
女性は蓮華に繋がる手がかりがその掛け軸だけだった。
だから、蓮華を探すために。
二人の気持ちのすれ違い。
相手を責めず自分のしたことを悔いる二人。
蓮華の笑顔の裏にあった気持ち。
これから二人と美涼さんの娘の華蓮ちゃんが楽しみだなぁ、と思った。
華蓮ちゃんがすごく優しい子だっていうのは短いなかでもよくわかったので、
10年後、彼女が蓮華とどう接するのか楽しみです。
変わらず三人が笑顔であるといいねぇ。

そして、最後は洸之介。
お母さんの気持ちはそこまででも少しずつ触れてたから、
さすがにどういうことかわかりやすくて、
洸之介は鈍いなぁ、と。
母親が息子のことを見てないわけないじゃないですか、ねぇ。
そんな母親から出された課題。
それを受けての環さんの集中講習。
その姿に対して蓮華は本格的に表具師になるための修行が始まったと思った。
それをいろんな人に言いまわっていたのは蓮華で、
違うのにと困ることになる洸之介。
蓮華の感じたことは何も間違っちゃないのにね^^;
そんな蓮華から聞いた人たちや妖怪たち。
彼らはみなそれを喜んだ。
そして、洸之介はそうするものだと思っていた。
表具のことを学ぶ時、洸之介は自然と笑顔になっていたから。
とても楽しそうだったから。
それを知らなかったのは洸之介だけ。
そんな彼を色々な人が支えていた。
お母さんの部下は面白い人が多かったですね。

祖父の最期の言葉、母のこと。
色々なことが引っかかっていたが、色々な人や妖怪との出会い。
彼らの抱える気持ちが自分と向き合うきっかけとなった。
そして、気付かないようにしていた本当の気持ちを知った。

受験まで残り僅かとなっての進路変更。

母と、父とも違う。
けど、二人の持っていた視点を両方受け継いで自分らしいこれからを歩むことを決めた。
また、師匠である環さんや兄弟子の兵助とは違うアプローチで。

環さんでも出来ないことを出来るようにする未来を作るための第一歩を踏み出した。
本当に洸之介のこれからが楽しみですね。

ちなみに後藤さんはどうなったのやら^^;
後藤さんが洸之介から内緒にしてほしいと頼まれていたことを先に言っちゃったわけではあるけど。
悪気があるわけじゃなかったですしねぇ。
いつかはバレることだったでしょうけどね。
友達からの質問攻めにどうしたことや^^;

そんな恋の話が洸之介にはなかった、よね?
環さんへは憧れになったし。
そんな洸之介がこれからどういう恋をするのかってのも気になったなぁ。
ちなみにこの世界では妖怪と人は結ばれることはあるのかね?
何か洸之介は妖怪と結ばれる方が自然な感じがしてならんけど^^;

そんなこんなで最終巻となったこのシリーズ。
表具という全く知らなかった世界を中心に描かれた話でしたが、
知らないことを色々と知ることが出来て楽しかった。
楽しみながら知識を得るというのはいいことですね。
個性的な妖怪たちの姿も読んでいて面白かった。
もっと色々な妖怪や表具の話を読みたいとは思いますが、
これにて完結ですので少々寂しいです。
行田さんの次回作を楽しみに待ちたいですね。

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行田尚希 「路地裏のあやかしたち3」

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