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わけありの方、歓迎します。 斎藤さん家の五ツ星アパート/宇佐見秋伸(著) 読了

わけありの方、歓迎します。 斎藤さん家の五ツ星アパート/宇佐見秋伸(著)前作も面白かったですが、
今作の方が全体の雰囲気としては好きですねぇ。
面白かったです。
二作続けてよかったので、今後も楽しみにしたい作家さんですねぇ。

アパートの住人の物語。
そこに大家さんの女性、女の子が関わってきて、
わけありの彼らの人生を大きく変えていく。
そして、彼らと接することで女性、女の子もまた
色々なことを経験していくこととなる。

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以下、ネタバレ含みつつ感想続けます。
話の流れで住人に関わってくる女性、女の子はいづみだろうと思って読んでいましたが、
最後の話でちゃんと明かされましたね。
予想通りだったので安心しました。
違ってたらビックリというよりは、たぶんしらけてたと思うので。

幼い頃のいづみが出会ったのは犬を連れた自称・探偵。
さくらという犬が気に入ったいづみは、彼女と一緒にいたくて
探偵さんの仕事をお手伝い。
そんな彼の目的は復讐だった。
いづみの予想以上の活躍で彼の復讐への準備は順調に進んでいった。
その中で障害が生まれることとなるまでは。
いづみは復讐相手の娘と仲良くなってしまっていた。
探偵さんは気持ちが揺らいだが、なんとか決心し
いづみに嫌われることを選んだ。
本当のことを話して嫌われようと、
けれど、いづみは最後まで根っこの部分で嫌いになれなかったようですね。

そんないづみがいたことで、探偵さんは別の結末を選ぶことが出来た。

復讐相手と面と向かって会うことになり、話をすることに。
そこで彼がどう思っているのかを知ることになった。
それが紛れもない本心であることがわかるほどに。
だから、最後に一つだけ伝える。
家族は許さないだろう、と。
いつも誰かが見ている。
その言葉で相手はお爺さんがどういう人か気づいたでしょうね。

きっとこの男性は最期の時までお爺さんに話した気持ちを貫いたでしょうね。

そして、復讐をすることなく探偵さんはいづみと仲直り。
いづみと出会っていなければ出来なかったこと。

二つ目の話は高校生の女の子と漫才師の二人。
漫才師の本当の顔は空き巣を繰り返していた男たちだった。
そんな二人のおかげで高校生の女の子は親友を亡くした悲しみから立ち直ることが出来た。
この親友はきっとさくらのことだろうと予想がついたので、
これは彼女の成長の記録でもあるんだろうなぁ、と。
だから、他の話の女性もそういうことなんだろうと思いました。

でまぁ、漫才師の二人は仲違いするわけですが。
いい友情でしたね。
しかしまぁ、最後の話でビックリしたw
いづみの結婚相手って誰なんだろう、とは思ってたんですけど、
この時の男だったんかよ。
そこも繋がってたとは思ってもいなかった^^;

相方とは再会出来たのだろうか?

ということで、その次の話は女性が小学校の先生に、
住人は泥棒さん。
3000万円を拾ってそのまま持ち帰った男性。
小学生のゴタゴタを二人で解決することになるわけですが、
いづみの聞き間違いがややこしくさせた。
でまぁ、オチがなんともまぁ^^;
大人二人がなんやかんやで心配してたのに、
ケロッとしてんのなw

そんな二人が最後にしたのは3000万円分の宝くじを街にばらまくことだった。
で、車の中に残っていた1枚のおかげで、
いづみは結婚することが出来た。
当選すんのかね?とは一瞬思いましたけど、
それはさすがに上手くいきすぎじゃ?
とも。
でまぁ、結果としてはそれなりの額が当選したらしい。
借金を返して幸せになれたからよかったのかな。

ただ、そんな旦那さんは早くに亡くなってしまう。
車に轢かれそうになった子供を助けようとして。

その隠し切れない悲しみが残るまま10年近くたった女性が出会ったのは
殺し屋の男性と殺し屋を目指す男の子。

次第に惹かれ合っていく二人。
そして、互いにそれをしっかりと自覚した直後に、
これから、というところで殺し屋さんはターゲットとなる相手に殺されてしまう。
殺し屋さんは最期の力を振り絞って、そのターゲットを殺す。
彼女やその娘にまで危害が及ばないように。

そして、これでよかったんだ、と思いながら彼は亡くなった。
自分の素性を隠し続けなければならないから。
残された男の子は彼が倒れた近くで拾った犬を彼女のもとへと届け、
姿を消した。
この子はその後どうなったのかねぇ。
拾った犬は殺し屋さんも拾おうとしていた犬だった。

再びいづみは苦しむことになるわけですが、
その犬の世話をすることで気が紛れてなんとか生き続けることが出来た。
さくらと名付けたその犬のおかげで。

そして、最後の話は元住人の孫との話。
元住人は泥棒さんだったわけですが、
彼は宝くじをばらまいた後に自首。
その後、どういう流れになったのか少し気になったけれども、
家族が出来て幸せに過ごせていた、ということなんでしょうね。
よかった。

その孫が斎藤さんの家にやってきたのはお祖父さんとの話をするきっかけがほしくて。
ただ、その理由を隠して話を聞こうとしたわけですが、
何かを隠している、ということはいづみにはお見通しで、
彼女はある頼み事をして真意をはかろうとした。

そんなこんなで無事にお祖父さんとも話が出来たり、
いづみには若い友達が新たに出来たり。

こんな出会いがあるのなら、まだまだ生き続けないと、と思えるように。

最後の話でこれまでを振り返って、
その時には描かれていなかった彼女の過去の思いだったり、
細かい出来事だったりが語られたのがいいですね。

それぞれの話もよかったし、
文句なしで楽しめました。

次回作も期待です。

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わけありの方、歓迎しますの読書と足跡

わけありの方、歓迎します 著者 宇佐見秋伸 「入居者募集中ご相談は斎藤家(大家)まで※わけありの方も大歓迎です」という貼り紙のある“斎藤ハイツ”。そこには、変わった住人たちがひっそりと暮らしている。近くにあるマンションを見張っている、犬連れの老人。漫才の練習に明け暮れている怪しげな二人組。押入れの奥に三千万円を隠している若者。一緒に暮らす少年に人の殺し方を教えている...

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